降誕前第 7 主日・永眠者記念日
招 詞 詩編81:1
交読詩編 23:1-6
説 教 「沈黙の声を聴く」
川浦弥生牧師
讃 美 歌 26.6.524.92
<ことば>
東日本大震災という未曽有の災害について、遺族をインダビューして
本をまとめた石井光太さんという人によると、遺族は「幽霊でもいい
から出てきてほしい」とみな口をそろえるそうです。その思いの真摯
さは誰も笑うことはできません。いのちを脅かすような多くの出来事
が報道される今日、そして、これから、人間の無力さをおもう日々も
少なくないことでしょう。理不尽に亡くなった人、自然のように亡く
なった人、どちらにせよ、私たちに大きなことを教えます。私たちは
愛する者の死を通して、たくさんのことを考えます。この世界は生き
ている人だけによって作られているのではありません。生きている
者、死んだ者との共同作業です。内村鑑三の最初の著作『基督信徒の
なぐさめ』の第 1 章は「愛せしものを失せしとき」と題されていま
す。有名な不敬事件のあと、事件の渦中にあった内村を支えた妻を喪
います。そして、このあと、内村は自分たちが死んだあともまたこの
世界に参与するということを知りました。死者となってもなお、人は
道を開き続けるのです。その初穂こそが、主イエスでした。死は終わ
りではないのです。