2022年9月25日 聖霊降臨節第17主日
招 詞 詩編 47:2
交読詩編 112:1-10
聖 書 申命記 15:12-15
マルコ福音書 14:1-9
説 教 「その人のできるかぎりのことを」
川浦弥生 牧師
讃 美 歌 26(1).393(1).433(1).567(1).92(1)
<ことば> 先週は貧しい女性の献金130円が話題になりましたが、今日の聖書では逆に非常に高価なナルドの香油をめぐってイエスの教えが伝えられています。この香油注ぎという話はある女性神学者によって取り上げられ、これまでの聖書解釈を見直すきっかけとなりました。今から30年以上前の著作ですが、『彼女を記念して』つまり14:9がタイトルになっています。著者はエリザベス・シュスラー・フィオレンツァというハーバード大学神学部の教授であり、アメリカ新約聖書学会会長を務めた方です。キリストという言葉は日本語にすると「油注がれた者」という意味になります。この「油注がれた者」は旧約聖書ではメシアと呼ばれ、当時は皇帝や王、最高職の祭司たちのことをそのように呼びました。頭に油を注ぎ、この方こそキリストであるという記し、そしてそれゆえに十字架による死を預言して埋葬の準備をしているということ、嫁入り道具をすべて注ぎ込んだ献身、そういったいくつもの意味を読み取ることができます。イエスが彼女は埋葬の準備をしたと伝えているのですから、彼女の行為は預言者的かつ司祭的だと言えるのです。フィオレンツァが指摘したのは最初期のイエスのグループを、のちの男性しか祭司になれない教会とは区別して考えました。そこから、教会の正当な歴史とはいったいどういうものなのか、その姿は本当に神さまのみ旨なのかを、聖書を読みなおして、考え直す人たちが続出しました。